低価格なホスティングサービスでも、メールアカウント無制限を売りにしている事業者もありますが、注意すべき点もあります。
ここでは、組織内のインフラとしてメールを利用する場合、ホスティングサービスやレンタルサーバーを選ぶ上で注意したいポイントについて説明します。
つまり、社員や組織の関係者が社内でやり取りに使うメールとして利用するケースです。通常、このような機密性が重視されるケースでは、固定回線を敷設しLAN 内にメールサーバーを設置しますが、専門家を配置する必要がありランニングコストも掛かります。
メールアカウント無制限としているホスティングサービスは、社員数の多い中小企業に適しているように思えますが、インターネットを利用してサーバーに接続する性質上、受信、送信ともに暗号化された通信経路で接続できる必要があります。
暗号化による保護が行えないホスティングサービスのメールサーバーは、無料で提供されているフリーメールと同等のセキュリティレベルです。フリーのGmail は、送受信ともメールクライアントで暗号化が出来るため、 それよりも劣ります。
組織内でインフラとしてホスティングサービスを利用する場合、POP Over SSL(受信) と SMTP Over SSL(送信) あるいは STARTTLS(送信) に対応してる必要があります。
この例では、受信、送信とも通信経路が暗号化されるため、同一ドメイン同士のメールのやり取りを行う場合、機密性を保つことが出来ます。
SMTP Over SSL や STARTTLS に対応していないホスティングサービスの場合、メールは以下のようになります。メールの機密性は確保できません。
従来の ISP が提供していたメール送信サーバーを指定していた場合、左図のような経路を通る為、機密を保持する事はできません。
このサイトでおすすめとして紹介しているホスティングサービスの中で、機密性が確保できるメールサーバーを提供している事業者は以下のとおりです。
ホスティングサービス | POP Over SSL | SMTP Over SSL | アカウント数 |
---|---|---|---|
Ablenet | ○ | ○ | 10~100 |
C'S Server Personal | ○ | ○ | 50 |
ホスティングサービス | POP Over SSL | SMTP Over SSL | アカウント数 |
---|---|---|---|
アイル iCLUSTA | ○ | ○ | 50~無制限 |
C'S SERVER Professional | ○ | ○ | 100 |
CPI (一押し) | ○ | ○ | 200~無制限 |
Drive Network | ○ | ○ | 無制限 |
WEBDAX @Next Style | ○ | ○ | 無制限 |
C3md | ○ | ○ | 無制限 |
NTTスマートコネクト (スマイルサーバに名称変更) |
○ | ○ | 10~無制限 |
上記、ホスティングサービスを利用するにしても、使用する社員が暗号化保護による接続を行わなければ意味がありません。
代表的なメールクライアントの POP Over SSL (受信)、SMTP Over SSL / STARTTLS (送信) の対応状況は以下の通りです。インフラメールとして機密性を確保するには、双方に対応しているメールクライアントを使用する必要があります。
対応 メールクライアント | POP3 メール受信 |
SMTP AUTH メール送信認証 |
---|---|---|
POP Over SSL | SMTP Over SSL / TLS | |
Windows | ||
Thunderbird | ○ | ○ |
Outlook Express 6 | ○ | ○ |
Netscape 7 (ブラウザ) | ○ | ○ |
Opera 8 (ブラウザ) | ○ | ○ |
Macintosh | ||
Thunderbird Mac OS X v10.3.x 以降 |
○ | ○ |
Mail v1.3 Mac OS X v10.3 標準 |
○ | ○ |
Netscaper 7 | ○ | ○ |
Outlook Express 5.01 Mac OS 9 |
○ | ○ |
ホスティングサービスが使用する SSL サーバー証明書との相性など、メールクライアントが対応していても利用できない場合があります。利用可能なメールクライアントについては、それぞれの事業者にお問い合わせください。