一般家庭において、ルーターが担うセキュリティ上の役割は以下で説明しています。
参照 => ルーター(ファイアウォール)の役目 ~ ハードウェア
家庭向けに市販されている民生ルーターには、求められるネットワークに応じてルーター専用機や、モデムと一体型となっている製品、無線LAN アクセスポイントを内蔵するものなど様々な製品が存在しています。
環境や目的に合ったネットワーク機器を選ぶには、ネットワークに関する最低限の知識は必要な上、様々な選択肢があるため一般の方には判断が難しい様です。
モデムとHUBを繋げてインターネットに繋がらないと嘆いている人は、そこらかしこで見かけます。(稀に繋がるISPもあるのですが、、)
多くの ISP では、セキュリティ上の理由から モデムとルーターが一体型となったモデムをレンタルにより提供しています。しかし、ISP の中には モデムのみしかレンタルしない ISP も存在します。
モデムのみを提供するISP は、Yahoo! BB 、ケーブルTV 系 ISP 、通信事業者では、NTT の フレッツ を利用して ISP と接続しているケースが該当します。
ネットワーク機器として一般に市販されているルーターは、主に Yahoo! BB や NTT フレッツ、ケーブル TV 利用者を対象にしています。
コレガは一般家庭向けのネットワーク機器販売で有名なメーカーです。また、PLANEXは SOHO 、企業向けネットワーク機器で実績のあるメーカーです。ルーターの中では、YAMAHA や マイクロリサーチ 社の製品が高い評価を得ています。
個人的に 専用ルーターでは、YAMAHA のネットボランチシリーズ、マイクロリサーチ社の NetGenesisシリーズ(筆者も愛用) がお勧めです。 理由は多彩なフィルタリングと高スループットを両立したバランスの良さ、それと長年の実績です。
基本的に、ブロードバンドモデムは、ISPからレンタルされます。モデム一体型ルーターを提供する ISP に多いタイプです。
ISP がレンタルするルーターは、一般に市販されているルーターに比べて機能面で大きな差があります。ブリッジモードで動作させることで、ルーター機能を無効にし、上記、市販ルーターを利用する事も可能です。
下記、図はインターネットサービスプロバイダの違いによる、一般家庭に多いLAN環境です。事業者からレンタルされるルーター一体型モデムの場合、LAN ポートは一つしか用意されていないケースが多く、見た目はモデムと変わりません。
つまり、どちらも WAN 側に1ポート、LAN 側に1ポートと言うこと
ルーターの場合は、HUB に接続する事で、ポートを分岐し、複数のパソコンからインターネットが行えますが、モデムの場合はLAN側のポートに HUB を直接接続する事は出来ません、というか繋いではいけません。
モデム一体型ルーターの場合.KDDI / ODN / So-net など |
モデムのみの場合Yahoo!BB / NTTフレッツ / ケーブルNet 複数のパソコンに異なる IPアドレスが割り当てられる場合もあります。 |
ルーターの善し悪しを決める要素は沢山ありますが、全てを説明すると難しくなるので、一般的にしっておいた方が良い点を以下に示します。
基本的に安価なルーターでも、ルーターの性質上、外部からの不正侵入対策としては効果があります。
ブロードバンド ルーターは、比較的、長く利用できるネットワーク機器です。それに対し、無線LAN アクセスポイント は、セキュリティ上の問題から買い替えを余儀なくされる事があります。(ライフサイクルが短い)
この場合、一体型の製品の場合、無線LANアクセスポイントのために全て買い換えという事になります。ルーターはルーターで購入し、アクセスポイントはアクセスポイントで購入するのがおすすめです。ISP が変わりモデムが変わっても、DHCPやNATなどネットワークに関するルーターの設定もそのまま継続する事も出来ます。
一見、手っ取り早く便利な一体型ですが、初めて家庭LAN を構築される方は、このようなケースも考えて製品を選ばれると後々後悔する事も少ないかと思います。価格は、一体型に比べ高めになりますが、機能面や将来の買い替えを考えると決して高くはないと思いますが如何でしょうか。
一般の方は、自分のパソコンで利用できるのか、と言う点を先ず考慮されると思いますので、この点について補足します。
一昔前は、ルーターの設定を専用のアプリケーションで行うのが一般的でした。そのため、Windows 用のアプリケーションしか提供されないケースでは、Windows パソコンが必要でしたが、現在はインターネットブラウザを使用して設定を行うケースが主流になっており、Macintosh 、Windows など機種を選ぶ事はありません。
ルーターは独立したネットワーク機器なので基本的に、パソコンを選びません。
ただし、一般家庭向けのルーターによっては、出先からのパソコン自動起動、リモート操作によるテレビ録画機能などを提供している製品もあり、外部からの接続を簡単に行うための機能を Windows 専用アプリケーションで提供される製品も存在します。
これらの機能を利用したいのであれば、対応した OS を登載したパソコンである必要や、LAN経由でパソコンが起動できる仕組み(Wake on UP)を持つパソコンである必要がありますが、基本的なルーターの設定は、ブラウザを介して行う事が可能です。
ブロードバンド ルーターの性能指標の一つに実行スループットがあります。実行する-プットの高い製品ほど、ファイルのダウンロード、アップロードを短時間に行うことが可能です。つまり、快適にインターネットが行えると考える事が出来ます。しかし、実行スループットが高いルーターい程、優れたルーターという訳ではありません。
実際の所、光ファイバーを利用している方であっても、動画配信サービスなど広帯域のサービスを提供しているサイトへ100Mbps もの帯域をフルに使用して接続される訳ではないため、通常の用途においては、5Mbps の速度もあれば十分快適にブロードバンドコンテンツを利用する事が可能であり、オーバースペックである事が殆どです。
家庭内LAN において、光ファイバーを利用している方は、10人が同時にブロードバンドコンテンツを再生するような事がない限り、あまり意識する必要はありません。
最近、光ファイバーインターネットは 1Gbps へシフトしつつありますが、1Gbps もの速度でインターネット上のサーバーと接続できる訳ではなく、(実際はその100分の1程度)です。事業者が 1Gbps を活用出来るコンテンツを提供してこそ、意味があります。
VPN 用途では、安価なインターネット回線を利用し安全にLAN環境を構築する事を目的とするため、VPN 通信時の実行スループットは大きな意味があります。
VPN とはバーチャル プライベート ネットワークの略で暗号化されたトンネルを P2P で接続(開通)させ、暗号化されたトンネル内をパケットが流れる事になります。VPN接続では、全ての通信が暗号化保護されるため、インターネットを利用しても盗聴される事はありません。このため、バーチャルでプライベートなネットワークと呼ばれます。 高価な専用線を必要とせず、インターネットを利用して遠くはなれた所と LAN構築を可能にする技術です。
通信の暗号化、複合化にはハードウェア(ルータ)に高い処理能力が求められるだけでなく、暗号化されない通信に比べパケット量も膨大になります。処理能力が高いハードウェア(ルータ)ほど、実行スループットに優れるため、スループットは重要なポイントになる訳です。