現在、デジタル一眼レフカメラを販売しているメーカー毎の特色、(マウント含め) 個人的な印象についてまとめて見ました。
CANON | Nikon | PENTAX | OLYMPUS | SONY | Panasonic
CANON は デジタル一眼レフ ブームの火付け役(EOS Kiss Digital)を販売したメーカーでもあり、低価格デジタル一眼レフ市場では Nikon を遥かに上回る圧倒的なシェアを誇ります。特に一眼レフが初めての方に人気があります。
また、CANONのデジタルカメラ全体に言えることですが、画像処理エンジンが行う補正についても、鮮やかながら態とらしさがなく、一般受けしそうな印象があります。補正も非常に上手いと思います。また、CANON 全てのデジタル一眼レフは、CCD ではなく消費電力に優れる CMOS センサーが採用されています。
CANON のデジタル一眼レフは従来の銀塩一眼レフ EOS シリーズで刷新された EFマウント を採用しています。EFマウントとはオートフォーカスを完全に電子制御を行うための規格であり、Nikon のFマウントと異なり機械的な伝達手段は一切ありません。
EOS シリーズ以外のレンズは使用できませんが、それは、銀塩一眼レフEOSでも同じです。フィルム一眼レフ EOS シリーズのレンズであれば、同社のデジタル一眼レフで互換性の問題なくレンズを使用する事が出来ます。 (CANON 純正レンズは高価です)
手軽な撮影を重視したい方、レンズ資産をお持ちでない初めて一眼レフカメラの購入を考えている人に最もお勧めできるメーカーです。実際、低価格デジタル一眼レフの市場は、CANON の独壇場となっています。
非常に人気の高いデジタル一眼レフですが、このサイトで紹介している商品撮影などライティングが重視される用途には適しません。スポット測光が行えないのは、絵作りを行う上で致命的です。露出補正も2段階のみで、プログラムAE を使用して一眼レフを手軽に楽しみたい方向けというコンセプトです。難しい事は抜きにしてスナップ感覚で色鮮やかな写真を撮りたい方に適していると言えます。
◆ 仕様 => http://cweb.canon.jp/camera/eosd/kissdn/system.html
◆ 作例 => http://www.canon.co.jp/Imaging/eosdigital2/eosdigital2_sample-j.html
デジタル一眼レフに限らず、Nikon のデジタルカメラは、鮮やかさを演出するというよりは、肉眼に近いリアルな描写を大切にする、落ち着きがあるという印象があり、明らかに補正されたコンパクトデジカメの色彩になれた方は敬遠する方も多いようです。
イメージセンサーには、エントリー向けの D50 / D70s 入門クラスの D80 では CCD 、プロフェッショナルクラスには JFET / CMOS センサーが採用されています。
Nikon のマウント部は、 Fマウントと呼ばれ従来の銀塩カメラとレンズの互換性を考慮した設計となっています。デジタル一眼レフでも従来のマニュアルレンズを装着する事が出来るメリットがありますが、露出情報や絞り値などレンズと連動したオート撮影のための電気信号は利用できないため、デジタル一眼レフの機能全てを使う事は出来ません。
そもそもオートに頼らない撮影は楽しいものです。やり直しの利くデジタルカメラですから、コストがかかりません。従来の豊富なFマウントレンズを試せるため、名機F3 で慣らした方、Nikon のレンズ資産をお持ちの方など上級者に人気があります。レンズの中古市場も玉数が豊富で、いろんなレンズを試せる楽しみがあります。
参照 => Nikon 入門向け おすすめの低価格デジタル一眼レフ
◆ 参考 => ニコン D80 実写インプレッション (MYCOMジャーナル)
◆ 仕様 => Nikon Imaging | D80 : 主な仕様
ペンタックスは大手光学機器メーカーであり、銀塩(フィルム)一眼レフのパイオニアでもありますが、デジタル一眼レフ分野では、カシオとの共同開発でデジタルカメラ市場に参入しています。また、Nikon や CANON の様にDTPを前提とした業務用の製品はありません。
PENTAX が発売しているデジタルカメラは、入門者を対象とした低価格 デジタル一眼レフですが、ハイアマチュアからプロまで満足させるだけの非常に高いポテンシャルを持っています。また、価格も安くコストパフォーマンスが高いという印象があります。
PENTAX のデジタル一眼レフは、ペンタックスKAfマウントとなっていますが、従来のKAf マウントで互換性確保のために残されていた絞り情報を伝えるための機械式レバーが廃止された KAf マウントとなっています。Nikon や CANON と比べ、純正レンズも豊富、価格もリーズナブルで魅力的です。
レンズキットで実売6万円を切る低価格デジタル一眼レフです。
◆ 参考 => レンズ交換式デジタル一眼レフデジカメ *ist DL2を発表
◆ 仕様 => http://www.digital.pentax.co.jp/ja/35mm/ist-dl2/spec.html
◆ 作例 => http://www.digital.pentax.co.jp/ja/35mm/ist-dl2/ex.html
独自の精度の高い "シフト方式 手ぶれ補正" を搭載した意欲的な低価格デジタル一眼レフです。コストパフォーマンスの高いデジタル一眼レフで、本格的な撮影にも適します。
◆ 参考 => 独自の手ぶれ補正機構を搭載した一眼デジカメ「K100D」発表
◆ 仕様 => http://www.digital.pentax.co.jp/ja/35mm/k100d/spec.html
◆ 作例 => http://www.digital.pentax.co.jp/ja/35mm/k100d/ex.html
オリンパスは光学機器メーカー大手で、初期のデジタルカメラ市場では、コンパクトデジタルカメラ CAMEDIA で一世を風靡しましたが、現在は他メーカーの追い上げでデジタルカメラ部門は赤字を計上しています。
フォーサーズという全く新しいマウント規格を採用しています。フォーサーズとは、オリンパスと米コダックが提唱したデジタル一眼レフ専用のオープン規格、ユニバーサルマウントです。フォーサーズレンズで、あればメーカーが異なっても問題なく利用する事が出来ます。
焦点距離を統一するため、CCDサイズ(4/3inch)も併せて規格化されています。撮像素子が一回り小さなサイズとなるため高感度撮影に弱い、構造上、撮像素子サイズの割にボディサイズが多きくなるといったデメリットもあります。
現在の所、フォーサーズレンズ デジタル一眼レフを販売しているのはオリンパスだけです。富士フィルム・松下・三洋・ライカが賛同しています。(富士フィルムのデジタル一眼は、Nikon のFマウント)
過去のレンズとは全く互換性のない新しい規格であるため、使用できるレンズが限られ、過去のレンズ資産を生かして楽しめる Nikon と違いデジタル一眼レフとしての魅力に欠けます。レンズの選択肢がない上、フォーサーズ ズイコーレンズも高価です。
ちなみにオリンパスは既にフィルムカメラ事業からも撤退しています。デジタル一眼レフの分野で再起を賭けています。
レンズキットで実売7万を切る普及型デジタル一眼レフです。
◆ 参考 => E-500 レンズキット のユーザーレビュー 【価格.com】
◆ 仕様 => http://olympus-esystem.jp/products/e500/spec/
◆ 作例 => http://olympus-esystem.jp/products/e500/sample/
こちらで説明している通り、デジタル一眼レフは、昔の一眼レフカメラブームを知る段階の世代に受け入れられたはじめてのデジタル家電と考えられます。高齢化社会が進む中、このようなボリュームのあるマーケットをコンパクトデジカメを発売してきた家電メーカーが指を咥えて見ている訳がありません。
コンパクトデジタルカメラ、ハイエンドデジタルカメラで実績のある一般家電メーカーが発売を予定しているデジタル一眼レフについてみてみます。
SONY はコンパクトデジカメを中心としたデジタルカメラが中心でデジタル一眼レフカメラは販売していませんでしたが、デジタル一眼レフ市場が拡大したため新規参入する事になりました。コンパクトデジカメ、ハイエンドデジカメで最近のトレンドとなっている光学手ぶれ補正を取り入れるなど、家電メーカーらしいアプローチが印象的です。
コンパクトデジカメやハイエンドデジカメでは、ドイツの名門、カール ツァイスのレンズを採用していましたが、一眼レフのレンズ資産は、カメラ事業から撤退したミノルタ(現コニカミノルタ) の αマウント を引き継ぐことで一眼レフの命と言うべきレンズのラインナップを確保しています。
SONY は既に、ハイエンドデジカメ で一眼レフと同じ大型 CMOS センサを搭載する製品を発売していますが、今回のデジタル一眼レフでは、新開発となる CCD センサを搭載しています。レンズは継承しても "画像エンジン"、"イメージセンサ" とミノルタレンズとの組み合わせ、チューニングは初めてとなるため、その点も考量されると宜しいかと思います。
SONY 初のデジタル一眼レフです。2006年 7月 21日 発売の従来のαシリーズのレンズとの互換性があり、低価格ながら1000万画素の大型CCDや光学手ぶれ補正機能、レンズ交換時のCCD誇り付着対策機構など、従来のデジタル一眼レフにはない先進の技術が取り入れられています。カメラメーカーらしからぬアプローチに SONYらしさを感じます。
サンプルを見る限り高感度撮影時のノイズは、CANON や Nikon の普及タイプのデジタル一眼レフと比べてもかなり見劣りします。 おそらく、画素数を上げたことの弊害ではないかと思われます。
◆ 仕様 => http://www.digital.pentax.co.jp/ja/35mm/ist-dl2/spec.html
◆ 作例 => ソニー α100 実写画像
◆ 市場価格 => Yahoo! ショッピングモールの最安値
松下もSONY と同様に、コンパクトデジカメを中心としたデジタルカメラを販売していますが、一眼レフ市場参入を表明しています。松下の特徴として、従来の直感的なアナログの操作感をそのまま残すという、他メーカーのデジタル一眼レフとは一線を画すコンセプトとなっています。
参照 => 松下電器、デジタル一眼レフカメラ「LUMIX DMC-L1」を発表
写真を見てもわかるように、操作系がデジタルカメラではありません。ダイヤル式のシャッター速度リングなどクラシックカメラと同様になっています。
特に印象的なのが、一眼レフでありながら、コンパクトデジタルカメラの同様の EVF 液晶 によるライブビューを搭載している点です。簡単操作とアナログ操作の相反するなんとも形容しがたい、マニュアル操作にこんなのいるんでしょうか、といったコンセプトがボケてしまうような感じがします。
オリンパスもライブビュー可能なデジタル一眼レフを販売していますが、これとはニュアンスが全く違います。
松下は、2004年にレンズ一体型のハイエンドデジタルカメラで、LUMIX DMC-LC1 というライカデザインのカメラを発売しています。このデジタルカメラは、何から何までマニュアル操作に置き換えたデジタルカメラで、価格も非常に高価です。このような電子系統の操作をアナログに変えるアプローチが製造コストとして量む為です。
低価格一眼レフ市場ではなく、アナログ操作に執る中高年層、ハイアマチュアをターゲットとした独自路線となっているのが特徴です。
新規参入である松下は、SONY と同様にレンズ資産は全くありません。2006年末に販売が予定されているされる DMC-L1 は、オリンパスと米コダックが提唱する ユニバーサルマウント フォーサーズシステム となります。