遅れに遅れた Windows XP の次期バージョンである Windows VISTA の開発ですが、昨年(2006) 11月に ビジネス用の VISTA (Windows XP Professional に相当) が出荷され、2007年 1月 30日に Home Edition に相当する VISTA の出荷を控えています。
これに伴いマイクロソフトのライセンスセンターも Windows XP の取扱いを停止
Windows VISTA は Apple (家電)を意識したと思われる機能が目立ち、提供される機能毎に5つのラインナップが存在します。VISTA 家電向けの機能に目が行きがちですが、セキュリティ面でも 2000 や XP の構造と異なる仕様変更が行われています。
VISTA とはどのような OS かは、ASCII 24 の記事が分かり易いと思います。
参照 => 【特集】ここが変わったWindows Vista 100連発!
XP では Home Editon(一般家庭) と Professoanl (ビジネス)の 二つのラインナップ が存在しましたが、 Windows VISTA 日本語版は 5つのラインナップが計画されており従来の Windows XP に該当するラインナップは以下の 3製品です。
XP Home Edition の後継となるバージョンですが、更に2つのラインナップに分けられました。特に、これまで XP Home Edition をビジネス用途で利用していたユーザは注意する必要があります。
Home Basic は、Windows XP MediaCenter Edition のようなホームサーバへ接続するための一般家庭向けのクライアントOS といった印象があります。同社の MediaCenter の存在価値を高めるためのラインナップと個人的に見ています。
安いからといって購入すべきではないです。発売前にきて想像の域をでない Windows VISTA は一体なんなんでしょうか。
Windows XP Professional の後継となるビジネス向けクライアント OS となるバージョンです。 セキュリティ機能を制限したバージョンに分けられます。
この他にも、更にセキュリティ、ネットワーク管理機能を強化したビジネス向け クライアント OS に Windows Vista Enterprise(ボリュームライセンスのみで一般購入は不可)、Vista Business に Vista Home Premium のメディアセンター機能が搭載されたヘビーユーザー向け??の Windows Vista Ultimate というラインナップもあります。
Windows 2000 から XP では、Linux や OS-X などUnix 系 OS では実装されていた パケットフィルタリングによる パーソナル ファイアウォールが実装された程度のアップグレードで見た目と使用メモリの増加、重くなった程度の印象しかありませんでした。
今回も似たようなもので、マイクロソフトがセキュリティの目玉としている マルウェア(ウイルス・スパイウェア)対策ツールの実装は、既にサードパーティ製品を利用している人にとって全く意味が感じれません。
安全性を重視したい私にとって最も目玉であった TPM 1.2 チップを使用したシステム ボリュームの暗号化機能(BitLocker)は、Vista Business には提供されません。また、EFS によるファイル暗号化は、従来の Windows 2000 から既に行えています。
IPv6 にようやく対応し、意味のないインターフェイスの 3D化や、ホームサーバーやDVD 編集(メディアセンター)サポートなど、仕事には余程縁のない機能が盛り込まれたといった印象が強く、パフォーマンス(CPU ・メモリ・ハードディスク・グラフィックチップ)も要求します。
Intel CPUを搭載したパソコン買い替えを促進するための 新OS と解釈されても仕方がないように思えます。個人的にはビジネス向け VISTA は、最新のセキュリティ技術を出し渋ったという印象が強いです。
Windows VISTA は、パソコンに高い処理能力を求めます。CPU 、メモリ、ハードディスク容量、グラフィックスチップ、パソコンを構成する全てに対し、これまでのアップグレードとは比較にならないほど、高いスペックを要求します。
つまり、使えないパソコンが大半を占め、自作PC が出来るユーザーはハードウェアを拡張する事で対応できすが、一般の方にこれらを要求するか、或いは XP HomeEdition のセキュリティサーポート終了を理由にパソコンの買い換えを強制する OS という見方が出来ます。
現在、CPU の絶対的なパフォーマンスは頭打ちとなっており、デュアル(2)コアやクアッド(4)コア プロセッサといった並列処理を前提としたプロセッサが登場しています。
並列処理により得られる恩恵はこちらで説明していますが、Windows VISTA は、今後10年のマイクロソフトの重要なベース OS になると位置付けられており、これらの並列処理を更に意識した OS へ移行する事も考えられます。
そもそも、通常のオペレーティング システムにこのような技術は必要ありませんが、システムにデータベース構造を組み込むといったデータベースが絡んでくるとマルチスレッド処理の恩恵は大きくなります。(WinFS は開発中止になった)
マイクロソフトは、VISTA を今後10年の基盤となるシステムとしており、並列処理を前提としたシステムを提供してくる可能性も考えられます。これらか ノートPC を購入するのであればデュアルコアプロセッサを搭載したパソコンをお勧めします。
Windows VISTA は非常に多くのメモリを必要とし、最低でも 512MB が必要とされています。(実際には足りない 1GB は必要) ワープロや表計算などのビジネスソフトは使えても 2D/3Dグラフィックや映像編集ソフトを日常的に使用するユーザーは最低でも 2GB は必要になるかと思います。
グラフィック統合型チップセットの場合、ビデオメモリ分を実装メモリから差し引いて計算する必要があるため更にメモリが必要になります。(後述)
CPU 以外で最もパフォーマンスを体感する部分はグラフィックスの描画性能です。PC/AT デスクトップパソコンの場合でAGP や PCI Express バスの空きがあればグラフィックスカードは交換が可能ですが、ノートパソコンの場合は、必然的に統合型グラフィックスチップ(マザーボード一体型)となるため、交換する事が出来ません。
最近のデスクトップPC の場合でも、省スペース、コスト重視のため統合型チップセットが使われる傾向があります。 特にメーカー製のデザイン優先でスタイリッシュなデスクトップパソコンもノートPC と同じと考えて良いと思います。
PCI (32bit)バスしか持たない、旧世代のデスクトップパソコンでは厳しいかもしれません。PCI のビデオカードは性能的に厳しいです。 256MB のビデオメモリを搭載したDirectX 9 に対応したビデオカードが必要です。
グラフィックアクセラレーターチップがマザーボード上に搭載されたパソコンのことで、省スペース デスクトップパソコン、安価なデスクトップPC に多く、ノートパソコンでは必然的に統合型チップセットになります。
拡張スロットに挿す独立したグラフィックボードでは、ディスプレイへ描画するために一時的に取り込む専用の高速メモリがボード上に搭載されているのに対し、統合型チップセットの場合、マザーボードに搭載された通常のメモリを使用します。(そのため安価)
このメモリはグラフィックボードに搭載されるメモリに比べ速度が遅いため、描画に多くのメモリを消費する3Dグラフィック処理では更に不利になります。また、実際の作業に使用できるメモリが削られるため、実際に使用できるメモリはグラフィックチップが使用するメモリ分を差し引いて計算する必要があります。
Windows VISTA では、OS-X を意識して 3D グラフィックスによる意味のない派手なインターフェイス(Aero Glass)を提供するため、ノートPC をはじめとする統合型グラフィック チップセット搭載機では更に不利になります。
これらを略いた Windows VISTA はビジネス向けには存在しません。つまり、現状では必要のない機能を無理やり買わされることになります。
Windows VISTA は、DVD で供給される事からも想像できるように、これまでとは比較にならないほどディスクスペースを浪費します。ノートPC の場合は、実作業のことも考えて 最低でも 60GB は欲しいところです。使用されるディスクスペースの殆どは、無駄なアプリケーションであると思われます。
マイクロソフトの OS に関しては従来から言えることですが、何をもって家庭向けなのかが良く分かりません。いずれにしても、XP Home Edition と XP Professional に相当する Windows Vista Home Premium 、 Windows Vista Business は、従来のXP に比べ高いパフォーマンスを要求します。
現在、一般家庭、ビジネスでは必要ない 1CPUで並列処理を行う CPU が低価格 PC にも搭載されており、これらのパソコンへの買い替え需要を迫る マイクロソフトと Intel の暗黙の了解があるように思えてなりません。Windows VISTA は買い替えを前提とした OS という印象が強いです。
特にビジネス向けの VISTA に言えることですが、ビジネスユーザが求めているのは、Apple の iTune や 3D アクセラレータを使用する派手な装飾ではありません。セキュリティホールのない安全な OS と安全にネットワークを利用できる環境、そして オペレーティング システムとして提供されるべき当り前の機能です。
インターフェイスを改善する多くのシェアウェア、フリーウェアソフトが物語っており、セキュリティに関しても EFS や証明書管理など従来からある技術の組み合わせで低コストにセキュリティを高める事が出来る筈です。OS 自体が改善すべき機能ですが、この辺りも他のベンダーに依存しています。
セキュリティやネットワーク機能、ユーザー管理などのセキュリティ面での強化は、Windows 2000 から XP へのファイアウォールインターフェイスを積んだ見かけだけのアップグレードに比べれば評価できますが、VISTA Basic のようなパフォーマンスを優先したビジネス ラインナップは存在しません。
お金の取れるところからはお金をとろう いう事でしょうが、そろそろこのようなマイクロソフトのやり方にうんざりしているユーザーも多いのではないでしょうか。目的別にユーザが選択できるようにコンポーネントで提供される方がありがたいです。Windows 2003 Server を見ていると、つくづくそう思います。
全くです・・ => ITmedia エンタープライズ:「Vista. Not」に感動!
以下で紹介されている Windows VISTA の機能の殆どは、現在の一般家庭向け VISTA のラインナップでは提供されません。
参照 => 「Windows史上最強のセキュリティ」――それがWindows Vista