.
WEB/DB 関連 => CMSサイト制作環境の構築 > 1.CMSによるサイト構築と運用に関する考察
Linux 活用ガイド:目次

サーバ構築ガイド

レンタル ガイド

ショップ 構築ガイド

情報漏洩対策

CMSによるサイト構築と運用に関する考察

はじめに

ここ半年、WordPress について相談や問い合せを受ける機会が増えました。その主な理由として共通しているのが、サイトリニューアルを兼ねて、スマホやタブレット端末に対応したサイトを構築したいというものです。

そのために WordPress について聞かれるのも興味深いのですが、CMSの利便性に関する認識はあるのに対して、リスク面の認識が全くと言って良いほどない、と見受けられることが多く、必ず相談される方のCMS認識を確認した上でアドバイスするようにしています。

この様な背景もあり、本稿では WordPress を例に、CMS によるサイト開発環境の構築する技術的な面を紹介すると共に、ホスティングサービスにおけるCMSによる実際のサイト運用と照らし合わせて、どういった点が従来のサイト運用と違っているのかを紹介する視点で書いています。

CMS とはなにか

CMS とは、Content Management System のことで、個人、企業のホームページの管理、運用をブラウザだけで行えるシステムのことです。

元来、ホームページを運用するには、HTML や CSS といった知識や、効率よくコンテンツを作成しようとすると、専用のHTMLエディタなどが別途必要で、それらの知識も別途習得する必要がありました。

CMS によるサイト運用では、HTMLやCSSなどの知識が不要で、ブラウザさえあれば、専用のソフトウェアがなくても簡単にサイトのコンテンツを作成し、配信、管理を行うことが出来ます。

MovableType の登場や、これらCMSを用いた個人のブログ(日記)サイトがブームになったことで、ホームページをもつ敷居が大きく下がったこともあり、現在では様々なブログサイトを運用できる無料のサービスが提供されています。

それまでの個人のHPといえば、サービスプロバイダが、HPの公開スペースを提供するというのが一般的でした。HTMLに関する知識が必要で、一般の方には敷居が高かったのですが、このような技術的なアイデアが普及したことで、日記のような事柄でも、誰にでも手軽に情報を配信できるコンテンツを作成し、配信できるようになります。(当時は Web2.0 ともてはやされました。)結果、個人のHP(ブログサイト)は爆発的に増え、無料のブログサービスの台頭により、現在ではHPディレクトリを提供するサービスプロバイダは役割を終え、ほとんど姿を消したと思われます。

CMS のタイプ

世の中には、コンテンツの内容に適した様々なタイプの CMS が存在しています。ブログ(日記)コンテンツに適したトラックバックなどのアイデアで先駆け的な存在の MovableType

メールフォームなどを標準で装備するなど企業サイトの構築に適している国産が強みのbaserCMS。従来の静的なHTMLサイトに組み込んだり、ネットショップに適した機能が充実しているSOY

サイトデザインのカスタマイズ性やグラフィカルなデザイン性のサイト構築に定評のある Concrete5。ナレッジスペースや学術的な情報管理に力点が置かれる MediaWikiや、

ユーザー参加型のポータルサイトを前提としたXOOPSや行政サイト運用を想定している島根県CMSなど、現在は様々な CMS が存在していますが、これらは概ね、扱うコンテンツの内容によって開発の方向性が決まっています。

これらオープンソースで提供されるものから、商用利用を目的にした有償のものまで、様々な CMS が存在しています。

また、その以前から、ユーザー参加型の利用者同士の議論や意見交換、情報共有を前提とした掲示板、ポータルサイト型のPHPなどのプログラム言語で書かれたWEBサーバーで動作するアプリケーションは存在していました。

これらも、SQLデータベースとPHP等のWebサーバー上で動作する点は、CMS と原理は全く同じもので、ここで紹介していることと同様のセキュリティに関する認識が必要になります。

現在は、様々な CMS が存在していますが、何れも扱うコンテンツの種類によって開発の方向性が概ね決まっている点に着目して下さい。つまり、どういった情報を発信するのかも含めてCMS を選定する視点が必要になると言うことです

動的HTML と 静的HTML

CMS の多くはURLにアクセスがある度に、データベースに結果を問い合わせHTMLを出力します。HTMLファイルがそこに存在しているわけではありません。CMS の多くは、このような動的なHTMLでサイトを表示します。

これに対し、静的なHTMLは HTMLそのものがファイルとして存在していることを指します。HTMLエディタ等で作成し、FTPでアップロードする元来のサイト制作や運用が、まさにこれに該当します。

動的なHTMLを出力する CMS はページを閲覧するだけでデータベースへの問い合わせ処理が発生するので、サーバーに負荷を掛けます。またこの構造的な仕組みが悪用されて攻撃の対象になることがあります。

CMS の中には、この様なサーバーに掛かる負荷が高い運用上のデメリットや、リスクを解消するために、静的なHTMLを出力することで、システムと切り離して運用できるものがあります。

例えばMovableTypeの場合は、動的なHTMLによる運用以外に、静的なHTMLによる運用も可能です。この場合、サーバーに負荷をかけるのは、最初にコンテンツを作成した時にHTMLを出力するときだけで済みます。

また、一度、データベースに問い合わせた内容をキャッシュして再利用することで、極力、サイト訪問時のサーバー時に掛ける付加を減らす工夫をしてるCMSもあります。この辺は CMS によって機能に差があります。

ちなみに本稿で紹介している WordPress は 動的HTMLのみです。

WordPress については

本稿では、WordPress を例に CMS 導入プロセスと注意すべき点を具体的に順を追って見ていきます。WordPress の特徴を簡単にふれておくと、世界で最も普及しており、時系列をベースとしたブログ系コンテンツを扱うCMSです。

  • 利用者が多く、メンテナンスが行き届いている(プラグイン除く)
  • スマホ・タブレット端末に対応したテンプレート(CSS)が豊富
  • 利用者が多く、運用、保守管理、様々な情報が手に入り易い
  • アップデートを容易に行えるインターフェイス
  • プラグインに対応
    (利用でセキュリティリスクが高くなる逆の側面)
  • 他のフリードライブにバックアップするサードパーティプラグイン
    (個人情報を扱うサイトには抵抗が… )

引き続き、WordPress 等の CMS の導入を検討する上で、是非抑えておきたいメリットとデメリットについて説明します。

bottom_mark
ページ最上部
ページ最上部 前のページ