ここでは、最も最初に行うべきセキュリティ対策として、Windows NT 系 OS が持つ 管理者アカウントと一般アカウントの基本的な事柄について説明します。
Windows NT / 2000 / XP などのマイクロソフト OS や、Mac OS X 、Linux などの Unix 系 OS には、ユーザーとグループ権限を設定する事が出来ます。
これにより、パソコン内に記録されるデータに、ユーザーごとに所有権を与えることが可能になります。例えば、一台のパソコンを複数で共有する場合、Aさんの作成したデータは、他の人に開けないようにする事が出来ます。
また、AさんとBさんが同じグループに所属する場合、そのグループに所属するユーザーのみが特定のファイルやフォルダにアクセスできるようにする事も出来るようになります。
Windows NT 系 OS (NT・2000 ・XP) では、ファイルシステムが NTFS でフォーマットされている必要があります。
ビジネス用途に関しては、セキュリティ上、最も基本的で重要な役割を持っています。
Administrator (アドミニストレーター) とは英語で管理者を意味する言葉で、Windows NT 系 OS では システムの全ての権限を持つ強力なアカウントです。
ファイアウォールなどセキュリティ上重要な設定の変更や、ハードウェアの追加、削除、ネットワークの変更といった全ての作業を行う事の出来る権限を持っています。その気になればシステムファイルを自分で破壊する事も可能です。
Mac OS-X や Linux 、FreeBSD など Unix 系 OS では、root (ルート)が Windows の Administrator に該当します。
企業であれば、このような強力な権限は社員に提供するパソコンには与えません。システム管理者という業務存在し、彼らが Administrator の権限を管理しています。社員に勝手にシステムを変更されたら、ネットワークが混乱したり、システムが破壊され業務に支障が生じたり、セキュリティを維持する事も出来なくなるからです。
Windows XP では、 Windows 2000 よりも簡単に、ユーザー権限の設定が行えるようになっています。普段使用するユーザーアカウントの作成方法は以下の通りです。
1.【スタートメニュー】 →【コントロールパネル】→【ユーザーアカウント】
以下の画面を開き、"制限" のラジオボタンにチェックを入れ、"アカウント作成" ボタンにチェックを入れます。
氏名やパスワードなどの入力を求められますので、必要事項を記入するだけです。
例え利用者が一人しかいないケースでも、普段から使用するユーザーは、制限付きアカウントを使用するようにして下さい。
また、一般家庭においてもアカウントを使い分けることで、メールやインターネット環境、マイドキュメントなど個人のプライバシーが守られるようになります。
個人のプライバシーが守られる以外に得られるメリットは以下の通りです。
アプリケーションのインストールが必要な場合、その都度、ユーザーを切り替える必要があるため、最初は面倒に感じると思います。個人しか利用しないケースであってもこのような作業は最初だけなのでそのうち気にならなくなります。得られるメリットの方が遥かに大きいです。
次期 OS の Windows VISTA では、ようやくユーザー権限でアプリケーションがインストールできるようになるそうです。その都度、管理者ユーザーに切り替えなくてもその都度、パスワードを入力する事で権限を取得できるようになると言われています。Linux や OS-X などのUnix 系 OS では当り前のことなんですが。
会社が社員に支給するパソコンにおいては、システム管理者がそれぞれのセキュリティポリシーに基づき、適切に設定した上で社員に提供し、Administrator 権限は社員に与えないようにします。
特に、Windows XP Professional や 2003 Server ではグループ ポリシーにより、ユーザーごとに木目細かな制限も可能です。これらの設定は、システム管理者のみが行えるようにする必要があります。
制約だらけにしてしまうと逆に業務に支障が出るため、業務内容に応じたポリシーが必要となります。
一般家庭に広く普及している Windows XP Home Edition ですが、この家庭向け Windows を利用している場合は特に注意する必要があります。
家庭向けという立場上、利便性が重視されるため、Windows XP Home Edition では Administrator は隠れた状態にあり、通常のアカウントに Administrator 権限を提供して使用するようになっています。
仮に、Administrator 権限と一般ユーザーを分けて使用しても、実は、パスワードの設定されていない Administrator ユーザーが隠れています。これでは、最低限必要なパソコンに対するパスワード認証が全く意味のない事を意味します。
例えば、XP Home Edition がインストールされたノートパソコンが盗難にあった場合、一般アカウントや、Administrator 権限を持つアカウントにパスワードを設定していたとしても簡単にログインできてしまいます。
セーフモード(システム起動時に "F8" キーを押す)で起動すると、パスワードの設定されていない Administrator ユーザーが現れます。つまり、パソコン内のデータはおろか、システムの設定も容易に変更できてしまいます。
必ず、隠れた Administrator ユーザーのパスワードを設定するようにして下さい。放置すれば、ウイルス感染時のダメージも大きくなる可能性があります。
XP Professional と XP Home Edition では、一般家庭向け廉価版 Windows XP と言え、もっとも大きな違いは、
一般家庭における通常用途においては Home Editon で十分ですが、個人で運用するネットショップや個人情報を扱う可能性のある学校教職員の方は、セキュリティ対策にも差が出てきますので、XP Professional の使用をお勧めします。
Professional は価格は高いですが、学校関係者向けに価格を抑えたアカデミックパック(機能は同等)が用意されていますので、そちらを購入するようにして下さい。Windows OS のライセンス、パッケージ購入については以下で説明しています。
参照 => ビジネス用途向け クライアントOS ~ Windows と OS X