無線LANには、使用する周波数帯域によって複数の規格が存在します。 無線LAN アクセスポイント と 無線LANアダプタ 双方の規格が一致していなければ通信を行うことは出来ません。
また、同じ規格であってもメーカー独自に提供している機能も多く、必ずしも規格が一致するから使用できると言う訳でない事に注意して下さい。結論から先に言えば、
という事になります。
現在、発売されている無線LAN製品には、以下の3つの規格が存在します。無線LAN アクセスポイント 、 無線LANアダプタ によっては、互換性を重視して複数の規格に対応した製品も存在します。
これらの規格はアクセスポイント、無線LANアダプタ双方が対応していなければ接続する事が出来ません。
この他にも、送信・受信を別々のアンテナで分割して行い、互換性を維持して最大伝送速度を 108Mbps まで引き上げた製品や、IEEE802.11n 100Mbps などの規格も策定段階にあります。
Pre802.11n (108Mbps)対応 無線LAN内臓ルーター >>> 個人向け
Pre802.11n (108Mbps)対応 無線LANアクセスポイント / アダプタ >>>
2005年 5月の電波法改正により、日本独自の仕様であったJ52 (5.15G~5.25GHz 4ch) から、世界規格である W52 ( 5.15G~5.25GHz 4ch)+ W53( 5.25G~5.35GHz 4ch)計8ch に変更されました。
これにより、2005年 5月以降発売される IEEE802.11a 無線LAN機器は全て、世界標準の IEEE802.11a (W52/W53) となっています。同じ IEEE802.11a の機器であっても両者は互換性がないので注意が必要です。
日本では衛星通信に使用される帯域が世界規格 IEEE802.11a (W52)と重なる為、国内独自仕様の 5.15G~5.25GHz の4チャンネル(J52)となっていました。11a のメリットを生かせなく、オフィスなど多くのパソコンを接続する場合にネックになっていためです。
従来の IEEE802.11a (J52) 無線LANアダプタを、世界規格である IEEE802.11a (W52/W53)アクセスポイントで使用するには、ファームウェアをアップグレードする必要があります。
J52 と W52 は、同じ周波数帯域を使用しますが、チャンネルが異なるため接続出来ないからです。ファームウェアをアップグレードする事により、J52、W52 両方に対応する事ができます。ただし、周波数帯域の異なる W53 には対応出来ません。
従来の IEEE802.11a (J52)無線LANアクセスポイント の場合、ファームウェアを更新する事で、W52 へ対応する事ができます。ただし、受信機の問題で J52 での接続は出来無くなり、W52 接続のみとなります。
このため、IEEE802.11a (J52)無線LANアクセスポイント のファームウェアアップグレードを行う場合は、クライアントの対応状況を考慮する必要があるので注意が必要です。また、この場合も、周波数帯域の異なる W53 へはアップグレードはできません。
世界規格のメリットである 8chが 4ch(W52)のみ 、つまり、利用できるチャンネル数は従来のJ52 と同じであるため恩恵は得られません。新しく発売されている IEEE802.11a (W52/W53)無線LAN アダプタが利用できるようになる以外はメリットはない事に注意する必要があります。
電波送信部を有償で交換する事で(W52/W53)へ変更できるサービスを提供しているメーカーもあります。
.BUFFALO IEEE802.11a/g/b AirStation CardBus用無線LANカード(802.1X認証対応) WLI-CB-AMG54E[WLICBAMG54E] 例えば、アクセスポイントから距離が近ければ IEEE802.11a を使用し、距離が離れれば、IEEE802.11b を使用など。 ■規格 : 802.11g / 802.11a(J52/W52/W53) / 802.11b (~11Mbps) |
ネットワーク規模の限られる環境では、11g が適していますが、新しい世界規格の IEEE802.11a(W52/W53) では、11b/g の2.4GHz に比べ扱えるチャンネル数が多く、干渉の少ない無線LANを構築できるため、規模の大きなオフィス、ビジネス用途に適しています。今後、ビジネス用途では IEEE802.11a (W52/W53) が標準になっていくものと思われます。
基本的に 無線LAN アクセスポイント と 無線LAN アダプタ の双方が対応している規格同士でしか接続する事はできません。(全ての規格に乗り入れ可能な製品もあります。)
Wi-Fi 取得機器 |
無線LANアダプタ | ||||||||
5.2GHz帯 | 2.4GHz帯 | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
W52 | W53 | ||||||||
ア ク セ ス ポ イ ン ト |
5.2 GHz |
J52 | 54 Mbps |
× | × | × | × | ||
W52 | × | 54 Mbps |
× | ||||||
W53 | × | × | 54 Mbps ※1 |
||||||
2.4 GHz |
× | × | × | 11Mbps | 11Mbps | ||||
× | × | × | 11Mbps ※2 |
54Mbps |
※1 アドホック通信(アダプタ同士の1対1通信)はできません。
※2 アクセスポイントが 802.11g の場合、802.11b のクライアントが混在すると 802.11g 本来の通信速度が出なくなります。製品によっては、11b を検出した場合、11g の通信速度に影響が出ないように、11b クライアントに抑制パケットを送出し、速度低下を防ぐ独自の対策を行っているメーカーもあります。
Wi-Fi (ワイファイ)とは、IEEE802.11無線LAN規格、WPA / WPA2 暗号化における異なるメーカーの Wi-Fi 対応製品同士の接続を保証するための仕組みです。メーカーの相互接続テストに合格した製品に対して、Wi-Fi ロゴマークの表示が認められます。
無線LAN 製品は、メーカーが異なると同じ規格であっても接続出来ない事も多かった事から、現在では Wi-Fi 標記があるかどうかは、無線LAN 機器を選ぶ上で重要なポイントとなっています。
無線LAN関連の製品は、メーカー独自の機能が数多く盛り込まれています。例えば、初心者でもミス無く簡単にセキュリティに配慮した設定をアクセスポイント、アダプタ間で自動で行う機能がありますが、双方が同じメーカーでその機能に対応している必要があります。
他にも、電波干渉を抑えて最適な通信速度を出す機能や通信速度をアップさせるための機能などメーカーにより様々で、より良いパフォーマンスを得るには、アクセスポイント、アダプタの双方が同じメーカーである必要があります。
新規導入の場合は、互換性という観点だけでなく、パフォーマンス面でも同じメーカー-で統一するほうが多くのメリットが得られます。
Wi-Fi と標記された無線LAN製品で、WPA(TKIP) 又は、WPA2(TKIP/ASE) 対応の製品であれば、異なるメーカーの製品でも安全な暗号化接続が可能とされています
。また、WPA2 対応の Wi-Fi 製品であれば、WPA対応 Wi-Fi 製品と TKIP 暗号化でメーカーが異なっても接続する事が可能です。無線LAN 製品を選ぶ上で、Wi-Fi と標記されているかは、製品選びのポイントになります。