本稿では CalDAV サーバー DAViCAL の導入とカレンダー情報の共有手順について説明します。
CalDAV とはカレンダー情報の標準フォーマットである iCalendar (.ics) を WebDAV サーバー上に保存する事でカレンダー共有を実現する比較的新しい標準プロトコルです。WebDAV (httpプロトコル)を利用するため、ネットワーク環境に依存せず導入し易い特徴があります。
カレンダー情報へのアクセス制限は WebDAV のファイル管理、および Webサーバーの接続制限を利用する事になりますが、複数のカレンダーユーザー管理や共有を行うためには、フロントエンドで橋渡しを行う何らかの CalDAV サーバーが必要になります。
カレンダー情報をネットワークで共有するには、技術面で幾つかの選択肢があります。また、クライアント側にもブラウザベースの Webアプリケーションと専用のカレンダーソフトウェアなど幾つかの選択肢があります。
カレンダー情報はイベント告知等、プロモーションの一環として、カレンダーポータルサイト等で積極的にカレンダー情報が公開されています。
本稿の内容は、CalDAV に対応している専用のカレンダークライアントを使用される方に適しており、携帯キャリアとの連携を考えている方には適しません。このようなケースでは、PHP などサーバーサイドでインターフェイスを提供するブラウザベースの GUI を提供するタイプの CalDAV サーバーが適します。
本稿で導入する DAViCAL で Google カレンダー経由した携帯電話での利用にも適さない。(不可能ではない)
個人的にですがブラウザベースの Web アプリケーションが提供するインターフェイスにどうしても馴染めず、資源(ハード・ソフト・人的)が無駄に浪費されているように感じてしまいます。(結局使わなくなります)
ちょっとスケジュールを確認するのに、わざわざブラウザを立ち上げてブックマークを選ぶという作業が苦痛でしょうがない訳です。
ちょうど Web メール と専用のメールクライアントソフトを比較するようなもので、Web2.0 に代表されるブラウザベースのアプリケーションのメリットは環境の依存度が少ないメリットがある反面、使い勝手は悪くなります。
CalDAV クライアントに使用したツールは以下の二つです。
メールクライアントである Thunderbird にスケジュール管理機能を拡張する Lightning というアドオン(機能拡張)を使用します。
このアドオンは後述する Sunbird を Thunderbird 上で実現します。
イベント、ToDO の参加依頼などグループウェア的な利用にはメーラーとの組合せが扱い易いため、後述するSunbirdよりお勧めです。
機能(デザインも含む)、操作性は Lightning も Sunbird も殆ど同じです。 ユーザー毎、カテゴリ毎の色分けが出来るため、誰が現在何をしているのか把握もし易く、個人的にとても気に入っています。
Mozilla プロジェクト のシンプルなカレンダーツールです。以下から入手できます。
Apple の iCAL (カレンダーソフト)も ver 3.0 から CalDAV に対応しています。ちなみにOS-X サーバーには iCAL サーバーが付属します。DAViCAL を使えば、iCAL クライアントも使用できます。
本稿では CalDAV サーバーに DAViCAL を使用します。
カレンダーユーザーの管理インターフェイスはブラウザ経由で行い、カレンダーの編集は専用のクライアントソフトを使用する点に重点がおかれています。
ブラウザベースのスケジュール管理ソフトに不満を感じている方に適していると思います。
DAViCAL は WebDAV と PostgreSQL を利用して iCalendar を管理する CalDAV サーバーです。カレンダーユーザーのアカウント管理、ユーザー単位でのカレンダー共有設定やグループ管理などブラウザ・インターフェイスで提供されます。
インターフェイスはまだ発展途上にありますが、日本語インターフェイスが提供されているため、英語が苦手な方にもとっつき易いと思います。依存関係にあるパッケージをクリアすれば導入も比較的容易です。
次のページから DAViCAL の導入手順と運用について説明します。